第5章 【裏】表現/斎宮
「んっ、あ…っ」
「手を噛むな、唇を噛むな」
「あ、や、だめっ、あぁっ」
宗とのセックスはとっても気持ちいい。でも、気持ちよくなればなるほど声が我慢出来なくて、我慢したいのにその術を全部宗に奪われてしまう。最終的にいつも自分でもうるさいくらいに声が止まらなくなる。
「ねぇ、あやちゃん」
「なに、ゆめちやん」
「セックス中ってどうしたら声を我慢出来るの?」
「…気持ちよかったら無理じゃないかな」
「えー…」
高校からの友達のあやちゃんは、幼稚園から小学校まで宗と同じところに通ってたから宗の性格をそれとなく理解している。それにあやちゃんの旦那さんは宗の幼馴染の鬼龍くんだから何かしらアドバイスを期待して相談した。
「私は美容師であってカウンセラーじゃないよ?」
「だって、個室だし、あやちゃんだから話しやすいんだもん…」
あやちゃんの美容師としての腕は宗も認めていて、宗の手が空いてない時にはあやちゃんのところならお金払ってでも行っていいと言われている。今日はヘッドスパとカットをしに来ている。
「まったく…最近のお客様は旦那様が大好きすぎてあてられちゃうよ…」
「あやちゃんも人のこと言えないでしょ?」
「だって…結婚できるなんて思わなかったんだもん…」
ドライヤーで私の髪を乾かしながら言うあやちゃんは顔を赤くしていて、女の私から見てもとても可愛かった。
「それ鬼龍くんが聞いたらすごく喜ぶと思うよ?」
「きっと重いって思われちゃうよ」