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朧月夜

第1章 【裏】息抜き/あんスタ蓮巳


「はぁ…」

嫁とは、ゆめとは幼い頃から知り合いだった。
天祥院財閥の数ある施設のうちの一つで一時期過ごしていたゆめは歳が近いこともあって英智の遊び相手として何人かと天祥院家に顔を出していた。その時に知り合い、色々あって交際する仲、そして結婚した。

「どうかしたか?」
「はい? 何がですか?」

今は夢ノ咲学院で教鞭をとっているゆめは、国語科の教諭で全学科に行き来している。夢ノ咲学院は学科も様々ある分生徒の層も様々だ。苦労も絶えないだろう。問題はゆめがその苦労を自覚していない部分がある。今もため息を無意識についていたのに気づいていないのだ。

「なんでもないならいいが…気分転換くらいしたらどうだ?」
「敬人さんがそれを言ってしまうんですか? 貴方も仕事し過ぎですよ」
「貴様なぁ…」

人の事はよく見ているのに自分のことには無自覚なのには困ったものだ。
疲れているのは目に見えてわかる。なにかしら気分転換をさせる必要がある。普段家のこともゆめに任せがちなのだ。なにかしてやっても罰は当たらないだろう。俺はある計画を立てることにした。


「そういうことなんだが、どうにかならんか?」
「主人を通さないで、予約してまで来られたのはそういうことでしたか」

計画のためには鬼龍の嫁に協力してもらう必要があった。そのために勤め先に予約を指名で入れて、会うことにしたわけだ。
鬼龍の嫁とは、鬼龍の結婚式と時折仕事帰りに鬼龍の家に寄った時に会うだけでちゃんと話したことはなかった。鬼龍曰く、しっかりしている可愛い嫁とのことだ。たしかに頭の回転は随分早い方で、話の理解も早かった。

「私でよければ構いませんが、早めにご連絡ください」
「あぁ、忙しいのにすまない。よろしく頼む」
「はい。それではヘッドスパのコース始めさせてもらいますね」

今回は鬼龍からヘッドスパが気持ちいいからと勧められていたのでそれで予約をしたのだが、すごかった。丁寧に頭の疲れを解されてしまった。
嫁の練習の一環としてマッサージを風呂上がりに鬼龍はしてもらっており、毎回終わる頃には気持ちよすぎて寝てしまうと豪語するだけあった。髪のセットに入るまで俺も寝てしまったのだ。

「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」

これで後は俺もやることは残り僅かだ。
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