第2章 【裏】満たして/あんスタ守沢
「ふぁ…今日も動いたぁ…」
母校の夢ノ咲で先生になってからというものの、授業以外にもいろんな学科の子たちからレッスンを頼まれたりとか、その勉強したりな毎日です。
「束間先生、お疲れ様です」
「あ、菜子先生、お疲れ様。今日もレッスン見てたの?」
同僚であり、夢ノ咲の卒業生の菜子先生には公私共に仲良くしてもらい、色々と相談しあっています。在学中は生徒会役員までしてたものだから私よりも生徒からの相談は多かったりする。中には告白してくる生徒もいるほどだけど、決まって旦那さんを引き合いに出して笑顔で退散させている。
「今日の子達は明後日ステージに上がるそうでして、こんな時間になってしまいました。束間先生は?」
「私は今度特撮ドラマのオーディションに出る子からアクションのレッスンを頼まれて…」
私はもう結婚していて、しかも相手は同じ夢ノ咲のアイドル科出身。私の旦那さん、守沢千秋くんは俳優としても、アイドルとしても人気絶頂中でもある。特撮系の映画や舞台とかにも出ているから帰宅後も毎日欠かさず特訓してから休んでいる。
「そういえば、いつもなら守沢さんが迎えに来てませんでしたか?」
「今日はユニットのレギュラー番組の収録で遅くなるって連絡があったの」
「なるほど。そういうことでしたか」
「私も頑張らないとね」
「頑張り屋なのはいいことですが、たまには息抜きもしてくださいね」
「菜子先生もね? 椚先生に色々頼まれてるでしょ? 私にお手伝い出来ることあったらするから言ってね?」
「ありがとうございます」
話しながら帰っていると、隣の道路に走っていた車が止まった。車から誰か降りてきて、最初は分からなかったけどやっとわかった。
「あら、敬人さん。お疲れ様です」
「は、蓮巳副会長? お疲れ様です」
「もう副会長ではないと何度も言ってるだろう…2人とも今日もお疲れ様」
「ありがとうございます。敬人さん、もしかして私たちを見かけたから止まったんですか?」
「あぁ、夜中だしな。守沢の連れも送ってやる。2人とも車に乗れ?」
「え、でも…」
「束間先生、ここは素直に甘えましょう」
「え、あ、ちょっと…」
蓮巳副会長の車に乗せられてしまい、私は家まで送ってもらってしまった。一応千秋くんにはメールで送っておいたけど。