第3章 エンカウント
さて皆様、ただいま私椎名夢歌はショッピングモールに来ております。
あの“エンカウンター”で緑谷出久君が死柄木さんと出会ってしまったあのショッピングモール。
しかも1人。
何故こんなことになってるかというと、ちょっと前に遡ります……
「あー、そういやお前。俺が居ない時出かけてきてもいいから」
「……へ?」
“ずっとお前に構うのは無理だ”
服を買ってもらってしまった次の日、早速袖を通してクルクル回ったりして楽しんでいた時の一言。
思わずピタリと止まって荼毘さんを凝視してしまう。
「出かけてきて…も?」
「あぁ。」
それは……いいの?
や、いいって言われてるからいいんだろうけど
「私が逃げたりとかは……?ヒーローに駆け込んでちくったりとか」
「すんのか?」
「こんなに良くしてもらってるのに、そんなこと絶対しませんけど」
「じゃあいいだろ」
いいの?(2回目)
逆にこのアジト的なとこから出ないようにって言っておくと、人間出たくなるって知ってるんだとか。
こんな感じのやり取り前にもした気がするけど、荼毘さん甘――――
「但し日が暮れる前には帰れ。もしいなかった場合は……」
「……絶対戻ります」
――――くない。
殺気やばかった、今。