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私の本丸

第19章 眠り主とうぐいす


~ * 眠り主とうぐいす 鶯丸目線 * ~


ホーホケキョ!
口笛で、自らの名の通りうぐいすの鳴き声をしてみる。声が聴きたい、そんな単純な想いからだった。
勢い良く起き上がり、驚きを声で表すお前に…正直驚かされた。


鶯丸「これは驚いた…急に大声を出すな。あ、寝起きに茶でもどうだ?」

主「え?あ、ああ…うん、ありがとう」


茶なんてただの口実に過ぎない。ただもう少し、お前の傍に居たかった…それだけの事。
何やらころころと顔色を変えるお前。どうした、また悩み事か?俺で力になれるか?
もう清くは無いこの俺が…お前を守っても良いだろうか?
そんな事を訊ねる勇気すら無い癖に…な。


主「ううう…お嫁に行けない」

鶯丸「ほう…ならばこの鶯が嫁に貰ってやろう」


真っ赤になるその顔を見ると、少しだけ気分が良い。
俺を意識しているという事なんだろう?


鶯丸「なかなか愛らしい顔で照れるな」

主「ちょ…お願い鶯丸、ちょっとだけ黙って」


耳まで真っ赤にして俯き、俺に掌を向けて目の前に差し出して来る。
この手を取って引き寄せる事が出来たら、どれだけ良いだろうな。
この胸に抱き、この腕に閉じ込めてしまえたら…とさえ思ってしまう。
我ながら幼稚な独占欲だな…。


鶯丸「さ、そろそろ夕餉の時間だ」

主「え…もうそんな時間!?燭台切、また一人で作ってるんじゃ!?」


そうか…もう行ってしまうんだな。
お前は優しい、きっと放っておけないんだろう?
仕方無い、俺も大人になるか。お前は俺だけの主では無いんだから…な。


主「鶯丸ありがとう!私、手伝って来るね!」


ああ、行って来い。
一つ頷いて、見送った。
本音を言えば、もう少しだけ…此処でお前と話していたかった。
この想いはまた、お前に直接綴るとしよう…。

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