第19章 眠り主とうぐいす
~ * 眠り主とうぐいす * ~
ホーホケキョ!
それは唐突な目覚めだった。
秋だというのに、うぐいすの鳴き声が聞こえた。
ゆっくりと瞼を開けば、辺りはうっすらと茜色に染まりつつあった。
主「…わっ!?」
ビクッ!!
私が寝過ぎた事に驚きの声を上げると、隣で大きく肩を跳ねさせ驚く姿があった。
鶯丸「これは驚いた…急に大声を出すな。あ、寝起きに茶でもどうだ?」
主「え?あ、ああ…うん、ありがとう」
じゃないいいいいいい!!!
何で?何でこの子は勝手に部屋に入ってるのかな?
私の部屋なんだよね?え、プライベート関係ナッシングなの!?
うわあああ、最悪…寝顔見られた……。
主「ううう…お嫁に行けない」
鶯丸「ほう…ならばこの鶯が嫁に貰ってやろう」
…………は?
はああああああああああ!?
平然と言ってのける鶯丸に、頬が一気に上気する。
鶯丸「なかなか愛らしい顔で照れるな」
主「ちょ…お願い鶯丸、ちょっとだけ黙って」
どうしてこの子はこういう爆弾発言を、こうさらっと平然と言えるんだろう…。
でもやはり女として嫌な言葉ではない。
恥ずかしさと嬉しさとで、頭の中が真っ白になる。
暫し黙っていた鶯丸が、不意に口を開いた。
鶯丸「さ、そろそろ夕餉の時間だ」
主「え…もうそんな時間!?燭台切、また一人で作ってるんじゃ!!」
一気に頭から血の気が引く。
急がないと、人数も多くなった本丸…一人でなんてとても…。
主「鶯丸ありがとう!私、手伝って来るね!」
布団を簡易的に畳むと、私は駆け出していた。