第13章 帰ろう、私達の本丸へ
小夜「宗三兄様…傷が」
宗三「無くなった…?」
良かった…。
ホッとして力が抜けてしまう。
主「宗三、もう痛くない?何処か苦しかったりしない?」
宗三「胸が……いえ、何処も痛くなんてありません。余計なお世話です」
フイ、と顔を背けてしまう彼に安堵の溜め息が漏れる。
三日月「俺は御主に付いて行こうと思うが、構わぬか?」
主「三日月…来てくれるの?」
三日月「ああ、無理矢理にでも…笑わせてくれるのだろう?」
主「…!!任せて!」
三日月「はっはっ、元気が良いな。ならば、これから宜しく頼む…主」
ブラック本丸の刀剣男士に初めて主と呼ばれ、涙が零れた。
?「…私は小狐丸。ならばこの小狐も、ぬし様の元に置いて頂けますか?」
美しく柔らかそうな髪に、毛の跳ねた部分が狐の耳に似た端麗な顔立ちの男性。
主「私で良いのなら、ぜひ…私の家族になって下さい…っ!」
?「ほう…三日月や小狐丸が参ると言うならば、この鶯丸も連れて行くと良い」
涙が止まらなかった。
その名の通り、鶯色をした髪を持つ落ち着いた雰囲気の男性が声を掛けてくれ…私は顔を手で覆い溢れ出る涙を隠し泣き続けた。
余計なお世話、そう言った宗三がそっと私の背を擦ってくれていた。
そして、遅れて広間に到着した二人は暫く様子を伺う様に広間には入らずに見守っていたらしい。
明石「心配、要らんかったみたいですなぁ」
蛍丸「ま、俺の主だからねー」
明石「そういえば、国俊と加州はどないしたん?」
蛍丸「え?寝てたし、放っておいた」