第56章 月輪の神秘(*)
亀甲「全く、僕のご主人様は泣き虫だね。僕が帰って来ても泣いてしまう……待たせてしまい、申し訳ありませんでした…」
主「うぁぁっ、亀甲…会いたかったよ…ぉ…!!」
亀甲に抱き付き、これでもかという位…泣きじゃくった。
ぽんぽんと背を優しく撫でてくれるこの手が、耳元で優しく笑ってくれるこの声が。
身体を包んでくれるこの体温が、亀甲の全てが私を安心させてくれた。
暫く泣き続け、漸く落ち着いた私の額にそっと口付けを落とす。
亀甲「ただいま、ご主人様…」
主「お帰りなさい…亀甲」
亀甲「さて…性急だが、構わないかい?」
はい???
セイキュウって…え?
主「な、何の事…でしょうか?」
自分でも分かる位、頬が引き吊る。
亀甲「僕を愛して…?」
そう言った亀甲の瞳はあの寂しげな物では無く、情欲という名の熱を帯び艶めいていた。
その目と目が合った途端、ドキンと鼓動が跳ねる。
だって…亀甲のこんな目を見た事無い。
亀甲は私の背に手を添えたまま、優しく押し倒す。
主「ぁ…ぅ……っ」
私の服をまるで宝物を扱うかの様に丁寧に脱がしていく。
唇、鎖骨、胸元、ヘソ、太股、膝、足の甲、爪先へと軽く触れるだけの口付けを落としていく。
その仕草一つ一つが優しくて、まるでお姫様扱いされているみたい。
そして、再び唇に口付けられた。