第7章 天使といっしょ
こんのすけに馬鹿にされたくない一心か、台所へはすんなり辿り着いた。
あー、よっぽどあの狐の嫌味に腹立ってんのね…私。
蛍丸「此処が、厨?」
主「く…くりや?」
蛍丸「ん、ご飯作るとこって聞いた事あるよ」
へぇ…昔は台所の事を厨【くりや】って言ったのか、勉強になるよほたるん。
主「うん、そうだよ。此処でご飯作って、あっちの広間で皆で食べるの」
蛍丸「……」
え、どうした?
急に表情を暗くさせる蛍丸に、私は内心焦り始める。
え、何か気に障る事言ったか?嫌われて無いよね!?私!
蛍丸「俺が最初だと思った…主、俺だけのって思ってたのに」
口を開くと子供らしく頬を膨らませる彼の可愛い独占的に、きゅっと胸が締め付けられる。
可愛い…!もう、天使だ。私の元に天使が舞い降りたんだっ!
主「でもね、みんな良い子だから!ほたるんの他に一人目が亀甲貞宗、二人目が加州清光っていうんだ」
蛍丸「ふーん…国行や国俊じゃないんだ。でも良いよ…俺、主だけ居れば良いもん」
え、何て言った?この子。私だけ居れば良い?
もう何なの?可愛過ぎて、鼻血出そう…。
いや、耐えるよ?っていうか…え、ちょっと待って?
主「くにとし?くにゆき?」
蛍丸「来派っていう刀工の流派があるんだけど、俺と国行と国俊は来派の刀なんだ」
主「なるほど、じゃあその二人はほたるんと仲良しさんなんだね」
蛍丸「そういう事だね。ねぇねぇ主、俺何したら良い?」
そうだった、蛍丸の可愛さに当初の目的を忘れていた。
にしても、一体何を作ろうか…。
蛍丸「主、これ何?」
主「ん、どれどれ?」