第43章 共有(*)
その後、皆に乱の紹介をした。
主「皆、この子は乱藤四郎。粟田口の子で、新しい家族ですっ」
私は極めて明るく笑い、乱に手を翳しひらひらと手のひらを動かしていた。
一瞬の沈黙の後、粟田口の面々が一歩前に歩み出て来た。
薬研「乱か。大将はこんなだが、まあ悪い奴じゃない。何より、兄弟が増えて嬉しいぜ」
鳴狐「そうだね」
包丁「乱!あっちでお菓子食べよ?ほらほら早くぅぅっ!」
主「あ!あんまり食べ過ぎてご飯食べられなくなっちゃ、駄目だからね!?」
乱「ぷっ…あはは!もう、そんなに押さなくても行くってばぁ。主さん、今日だけは許してーっ」
主「………っ」
明るく笑い、私にもおどけた様に言いながら包丁に背中を押され連れて行かれる乱。
今、主さん…って。
あの審神者の事は主様って呼んでいた彼の小さな変化が嬉しくて、再び目頭が熱くなる。
駄目だ、泣いてばかりの審神者なんて頼りなさ過ぎる。
涙が流れるのを止めようと、必死に目元を手の甲で強く擦る。
すると、不意に目の前が真っ暗になった。
山姥切「…アンタは優しいだけだ、泣いたって…誰も咎めたりはしない」
真っ暗になった正体は、山姥切の被る布。
私は気付けば山姥切の布の中に居た、暖かくて心地良い。
私は溢れてきた涙を拭い、布の中から顔を出した。