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私の本丸

第42章 ひだまりの本丸




物吉「主様…良かった……」


明らかに顔色が悪かった物吉は、私と目が合った瞬間ホッとした様に目を細めた。こんな顔を真っ青にする位に心配をしてくれた彼に、胸にチクッと痛みが走る。亀甲から離れ、私は立ち上がった。


山姥切「…写しの俺が、アンタを心配したと言ったら……嫌か?」


御手杵の後ろから横向きで僅かに顔を見せては、此方をチラリと見る山姥切。
嫌な訳無い!!心配をさせてしまった事が、心苦しいだけ…。
私は目をぎゅっと瞑って首を横に振り、再び目を開けた。するとあの白い布から覗く翡翠色の瞳が穏やかに細められ、見れば柔らかく微笑んでくれた。


御手杵「ふう…アンタなら無事だって信じてたぜ」


一瞬後ろの山姥切に驚き目を見開く御手杵、しかし私を再び見てはニカッと笑って拳の親指を立てて見せる。
この明るい豪快そうな彼の笑顔が、皆への謝罪の気持ちで一杯になった私の胸を軽くした。


加州「主!!もう、俺のこと置いてっちゃ駄目じゃん。本当に、心配したんだから…!」


駆け寄って来て、私を包み込む様に抱き締めてくれた加州。
その身体が僅かに震えているのが分かる、私が居なくなる事…そう、もしかしたら死んでしまうかと怖かった。そう…考えて良いの?私は、自惚れても良いのだろうか?
ぎゅっと少し苦しい位に力が入る加州の腕に、喉に何かが詰まった様に言葉が出て来なかった。


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