第39章 大ハプニング
引っ張り上げようと和泉守の手に力が入る。
しかし、力が入ったのが悪かったんじゃろう…和泉守は足を滑らせ、共に落ちた。
無論、雨でぬかるんだ地面に落ちて、わしも和泉守も泥だらけになったがは…言う迄もあらん。
そいて、歌仙に言われるがままに風呂に向かう事になってしもうた。
陸奥守「ああもう、えらい目ぇに合ったぜよ」
和泉守「うっせぇ、テメェがいきなり飛び出して来たんだろーが!」
陸奥守「おーおー、人ん所為にするとはのう。わしはおんしの所為で、こが泥だらけになりゆうがやろ!」
和泉守「ああもう喧しい!!テメェがボサっと歩いてやがんのが悪ぃんじゃねぇか!」
風呂に着いてから、ちいとばかしの嫌味を言うてやる。
不器用じゃけんど、わしはコイツとこがなやり取りしか出来ん。
言えば言い返し、殴れば殴り返される。男ゆうんは、そいでええがやろ。
和泉守と共に湯船に近付き、かけ湯をと桶を前に出し掛けた時じゃ。
和泉守「……なっ!?」
陸奥守「……お!」
主が裸で湯船から出て来よった。
元は刀じゃとしても、わしも人ん身体を得た男じゃ。好いたおなごの裸見せられて、欲情せん訳があらん。
自然とにやけてしまうんが、自分でも分かる。