第39章 大ハプニング
俺と陸奥守はいつも通りだ。言い争って、顔を背ける。
主「二人共ありがとう、えっと…じゃあ私出るね?」
そう言って出て行った主殿に、湧き出た欲に高鳴ってしまった鼓動が漸く治まる。
陸奥守とは目も合わさずに、気を取り直してかけ湯をし洗い場へと向かう。
同じく洗い場に来た陸奥守は洗い場一つ分を空けて身体を洗い始める、俺も汚れた身体を洗い始めた…。
陸奥守「主を傷付けようもんなら、わしが許さんぜよ…」
小さく呟く様な声で言う陸奥守へと視線を向ければ、真剣な眼差しで俺を見据えていた。
傷付ける…俺が?
和泉守「テメェこそ、主殿を泣かしやがったら…」
言い掛けた瞬間、扉が開く音に口を閉じた。
主「喧嘩しないの!和泉守、陸奥守…さっきは本当にありがとう。二人って優しくて格好良いんだねっ」
湯気で見えなくともその無垢な声が、俺の脳裏に主殿の笑顔を呼び起こす。
心臓が飛び跳ねる様な…湧き出た欲とはまた違う、鼓動の高鳴りを感じた。
和泉守「………?」
この感情は一体何だ…?
でも主殿に向けたこの感情が、嫌な物では無い事だけは…今の俺にも理解出来た。