第29章 波乱の予感
~ * 波乱の予感 * ~
鶯丸「三日月、今日は主とずっと一緒だったのか?」
小狐丸「ぬし様を独り占めとは…してやられました」
加州「今日は爪紅可愛く塗れたのに、主に見て貰えなかったじゃん」
宗三「抜け駆けとは…腹立たしい」
江雪「和睦…と、悠長には言っていられませんね」
太郎「皆さん、責めた所で何も良い事は無いかと…」
燭台切「…まあ、何かあった訳でも無いしね」
皆、口々に不満を述べる。
すると、酒の入った猪口を片手に次郎太刀が一喝した。
次郎「アンタ達、本気で言ってるのかい?はあ…男と女が一つの部屋で二人きりで居たんだ、何かあったに決まってるじゃないかっ」
その場に居た者全てが三日月へと視線を向ける。
三日月「ああそうだ。主は、夜伽に応じてくれたぞ?」
ゆるり、と微笑み平然と言って退ける三日月。
その言葉に鶯丸は茶を吹き出し、その吹き出された茶を小狐丸が被る。宗三と江雪と燭台切は、共にまるで凍り付いた様に固まってしまった。太郎太刀は目を大きく見開き、次郎太刀は当然とばかりにすましていた。
亀甲「……ご主人様」
ふと、小さく淋しげに呟く亀甲を余所に…。
加州「はあああああああああああああああ!?」
と、加州の声が広間中に轟いたのだった。