第3章 家族
ようやく涙も落ち着くと、ベリッと引き剥がされた
『大猫…』
「そんな不満一杯の顔すんな…それより顔洗ってこい、薬草採りに行くぞ」
『む…』
しぶしぶ、先程教えてもらった洗い場で顔を洗う
キンキンに冷えた水が泣いたことで腫れた顔にしみたが気持ちよかった
顔を拭いて急いで大猫が待つ家の外へと向かった
『大猫』
「お、来たな」
採った薬草を入れるのだろう、大きな竹籠を背負った大猫がこちらを振り返る
その手には大猫が背負うものよりいくらか小さな竹籠が抱えられていた
「これを」
『わかった』
「山のなかは足場が悪いところもあるから、絶対逸れるなよ」
『是』
受け取った竹籠を背負い、大猫と山に分け入って薬草を摘んでいく
前世で見慣れたもの、前世の世界では見なかったもの、薬草と一口に言っても様々な種類と効能があるが、それを一つ一つ教えられながら摘んでいく
あっという間に私の籠がいっぱいになった
いつぶりだろう、こんなに楽しいと思うのは
この日以来、大猫と一緒に薬草採りに出掛けるのが私の日課になったのは言うまでもない