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氷華血鎖【鳴門】

第17章 一部・暗雲


「ご存知の通りビンゴブックは若干12歳でSランクの犯罪者。懸賞金は水の国内ならば三本指に入る額ですよ」



確かにあの殺戮と島一つ沈める力は危惧されるだろう。だがそれは彼女なりに因果を断ち切る為の行為であり母親に託された弟妹を守る為の行為。世間にはそんなのは通用しないのが現実だが。



「余計な事は考えるな。迷う事になるぞ」

「戦ってみたい気はしますが術の相性が悪いですし組織内での規則なので肝に銘じてますよ」



そんな相棒を横目で見据えて村までの険しい山道を歩く。まだ朝日が登って間も無い。この時間に伺うのはもしかしたら迷惑に…なるだろうか。





※※※





トントンとまな板と包丁でリズムを刻みながら朝食の用意をする。干した魚を焼いて白米をよそって根野菜のお味噌汁に刻んだ葱を入れて食卓に並べる。



『おかしいな…』



この時間はもう学校の準備終えて正座して待機してるハズなのに。まだ寝てるのかしら?いや、お寝坊では無いハズだし。不思議に思って居間から縁側に出ると見慣れない大きな影が庭にあって色気無い悲鳴を小さく上げてしまう。



『ぅわ』

「初めましてチヅルさん。干柿鬼鮫です」

『え』

「すまない。邪魔したか」

『イタチさん!?何で…ってゆーか何故玄関からじゃない』

「「忍だから?」」



こんな朝早くに相棒である鬼鮫さんを連れてイタチさんがやって来た。来てくれたのは嬉しいんだけど玄関と言うものがありながら何故庭から入ってくるんだ。忍だからとか関係無い。



「忙しそうだな」

『忙しいって程じゃ無いんだけどマツとトシが起きて来なくて…』

「この子達の事ですか?」

『!?』

「「………」」



と鬼鮫さんの左右の小脇に抱えられてるのは間違い無く弟妹で。お互いあさっての方向にそっぽを向き全身泥だらけで多少怪我もしている。



「そこの森の中で喧嘩をしてたから止めた」

『喧嘩!?』



この二人が!?



「だってお着替えするのにトシが部屋から出てってくれないんだもん!」

「同じ部屋だし見慣れてるんだから今更だろ!?」

『………』

「おやおや」

「………」



まさか此処でこんな問題が発生するとは思って無かった。




















→to be continued.
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