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氷華血鎖【鳴門】

第11章 零部・前兆と予感


二人の…四人の空気が変わった。



-カカカッ-



「上達したな、二人共」

「へへーん!まぁね!」

「ねぇねたちにはまけないよ!」

『はいはい』



マツとトシは忍術や手裏剣術、体術の上達が物凄く早い。まるで何かを心に決めたみたいにグングン上達して行く。忍者学校に通えば間違い無く成績優秀ってくらいに。
チヅとイタチは…距離が無くなった様に見える。仲が良いのは始めからなんだけど…何だろう、それでもお互いの事は干渉しないみたいな見えない壁があったかのように見えてたんだが、その壁が無くなった気がする。



『ミツさん?』

「お、おう!?」

『疲れてる?』

「いや全く」



実は俺も双子と同じ様にチヅ(とイタチ)から修行をつけてもらってる。自然が豊かだから自給自足で生活出来る集落だが、だからこそ貧しくて忍者学校に通える様なお金は無かったから学んだ事が無い。それでも俺は村一番に強いと言う自覚はあった。
だから同じく若い者達が街まで出稼ぎに出る中、俺は村に残って村を守ろうとしていた。だが現実は上手く行かず、豊かなこの地を賊に狙われるのが多くなって来て苦しんでいた。
でも…チヅがこの村に住み始めてから変わった。
パッタリと賊が現れなくなった。



「ねぇねといたちにぃに、くみてのおてほんみせて」

『「え」』

「ねーおねがい。みつにぃもみたいよね?」

「えっ!?あー…」



まだチヅがこの村に住み出して間も無い頃、街に買い物におりる時に偶然見てしまった。賊と言う賊を片っ端から退治してるチヅを。本人は忍じゃないって言ってるけど俺が今まで見てきたどの忍よりも遥かに強かった。
そして邪な心を持ってこの村に来ようとする人は、この村を見付けられない様に結界までも張って守ってくれてる…ただの医者じゃなかった。



「そう、だな…」



だからチヅばかりに頼らない様に修行を付けてもらう事にしたんだ。だって女に守ってもらう男なんて格好付かないだろ。





※※※





「「おねがい」」

『「………」』



まるで仔犬の様なつぶらな瞳の訴え掛けに二人は顔を見合わせて浅い溜息を吐く。



『あーもー分かった分かった。一回だけよ』

「「わーい」」

「組手と言う事は武器の使用は無しか」
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