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氷華血鎖【鳴門】

第8章 零部・心


-すぅ…-



と目を開けるとバチッと自分と同じ藤色の双眼と目が合って吃驚し過ぎて後ろに倒れて畳に後頭部を強打する。



『あだっ!?』

「わーい!ねぇねをたおしたー!」

「いたちにぃにはたおれなかった…」

「吃驚はした」

『じゃなくて。アンタ達寝てたハズじゃ…』



話を聞くと連れ厠で起きたらしいが居間を通った時にまだ明かりが付いてて気になって入ればアタシ達が集中してたから更に気になってずっと監視してたらしい。



「ふたりでなにしてたの?」

「ひみつのおはなし?」

『…そうよ、秘密のお話』



身体を起こして弟妹を再び寝かせる為に二人の手を引いて居間を出ようとするとトシが声を上げる。



「ふたりはふーふー?」

『「ふーふー?」』

「ちがうよとし!ふ、う、ふ!」



-ずこっ-



と滑って



-がんっ-



と襖におでこをぶつける。一体誰だこんな言葉を教えたのは。ミツさんだな?ミツさんしかいない。明日にでもシめようか。



『違うから。早く寝なさい。寝ない悪い子には術教えてあげません』

「やだー!ねるー!」

「おやすみなさーい」

『はいはい、おやすみ』





※※※





夢を見た。
何かから必死で逃げる夢。だけど至るところから伸びて来る汚い手に捕まって檻の中に放り込まれる。そして民衆に晒され沢山の目が品定めする様な舐めずり回す視線が身体中を駆け巡る。とても気持ち悪い。そして誰かの手が自分を掴んだ時に激しい憎悪と怒りに魘われる。



-バチッ-



無理矢理、夢から醒めて目を見開く。嫌な動悸と変な気怠さ。身体を起こす気にもなれなくて視線だけ隣に向けると規則正しい寝息を立てて眠る双子。そしてその奥ではチヅルが上体を起こし窓から見える欠けた月を見上げていた。傾き具合的にもうすぐ夜が明ける。
"寝ないのか?"とか"もう起きてるのか?"と声をかける事が出来なかった。



『………、』



月を見上げているチヅルは俺から見ると後姿。顔は見えない。何かに耐えるように立てた膝の上で握り締める小さな拳は微かに震えていた。




















→to be continued.
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