第7章 零部・眼
「その嘘…いつかバレるぞ」
『嘘じゃないよ。だってあの世で会えるでしょ?』
「………」
確かにそうかも知れないが生憎、死後の世界は知らない。それにもし天国と地獄があるなら俺達は地獄。あの世でも会えそうには無いだろうに。
『ほら、イタチさんもどうぞ』
「ねぇねのごはん、おいしいよ」
「………いただきます…!………美味い…」
「「でしょー?」」
『ふふふ』
口の周りに米粒を付けながら弟妹が自信満々に胸を張る。こんなに穏やかな朝は何時ぶりだろうか。
※※※
「~♪」
今日も俺は機嫌良くチヅの家に行く。昨日は自宅で育成してる野菜を手土産にした。そして今日は朝早くから街に下りて有名な甘味屋で団子を買ってそれを手土産に。チヅはあまり街に下りる事も無いし、お袋談によれば女は甘い物が好きだって言うし。
「あ!みつにぃだ!」
「よう!トシ!チヅは家の中か?邪魔するぜ」
「だめーっ!」
「うおっ!?」
とマツが足にしがみついて来る。何だ?どうしたんだ?いつもだったら歓迎的で案内までしてくれるのに。
「じゃましちゃだめーっ!」
「え?俺邪魔なの!?」
傷付くなぁ…と思いながらも何の邪魔になるんだろうと考える。家事で忙しいのか………は!もしかして入浴中とか!午前中から?いやいや有り得ない…と思いながらも変な想像をしたら変な期待も止まらない訳だ。
「チヅー!」
※※※
『御免ね片付け手伝ってもらって』
「いや、気にするな」
朝食後。弟妹はすぐさま術の修行をするとか言って外に出て行ってアタシは食器等の洗い物をしてる訳だがイタチさんが手伝ってくれている。全く生活感の無い人が家事の手伝いをしてくれてるのは中々の違和感がある。
「………?何だ」
『別に。ちょっと不思議な光景だなって』
「………」
-ガラッ-
「チヅー!団子お裾分…け………」
『あ、いらっしゃいミツさん』
すると陽気な声色で居間に入って来たのはミツさん。流し台で並んで片付けをする様子に言葉を失い荷物をボトリと床に落とした。
→to be continued.