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氷華血鎖【鳴門】

第7章 零部・眼


住処を固定して数ヶ月が経った。
新居での生活もすっかりと落ち着いてアタシはこの集落で村医者として(たまに用心棒として)生活していた。相変わらず定期的に開かれる暁の会合にも参加している。基本的に黙って聞いているだけなのだが。そしてこの数ヶ月の間にリーダーと小南さんは数回、様子見に訪れてくれた。しかもちゃんとしたお土産付きで。
そんなある日の会合。



「暁は次の段階に入る」



その段階とは尾獣。尾獣を集めると言う話でまずは各々で情報収集をしろとの事。情報収集は得意分野だけど…正直まだ弟妹から離れるのは不安だし、そこは黙っておこう。
そしてイタチさんと十蔵さんのペアには別の任務が与えられる。



「二人は水の国へ向かえ」

「うげぇ…別の任務は無いのかよ」

「お前なら土地感あるだろう。チヅでも良いがチヅはまだ手が離れないだろ」

『うん』



そう。まだ弟妹から離れるのは不安。それをリーダーは分かってらっしゃる。だとしても…あんな辛気臭いところは正直行きたく無いけども。そしてアタシや十蔵さんなんかは見付かったら最期ってやつかな。アタシは忍じゃないけど水の国出身のS級犯罪者だから抜け忍と同じ様な扱いになるに違い無い。



-すぅ…-



『………何事も無ければ良いけど』





※※※





「ねぇねー!みてみてー!」



-ぼふん-



と煙に巻かれて現れたのは顔はそのまんまのミニチュアリーダー。どうやら変化の術を覚えたらしいが…完璧では無い。まぁまだ五歳だから仕方無いのだろうけど。



『リーダーはもっと大きい気がするけど…上手上手』

「えへへー」

『マツは?』

「まつはねー、みつにぃとはっぱにおみずあげてる」



みつにぃはミツさん…この村に来る切っ掛けとなった一番始めに助けた男性の事。はっぱにおみず…あ、薬草のお世話を一緒にしてくれてるんだなぁと解釈する。



「チヅ~」

『あ、ミツさん!すみません、有難う御座います』

「良いって!俺がやりたくてやってるんだし。それよりコレ」



と手渡された風呂敷には野菜が入っていた。大根、人参、馬鈴薯、長葱、水菜。これだけあったら今日の晩御飯の買物は行かなくて良さそう。



「朝イチで採れた野菜だぜ!お袋が持って行けって煩くて」

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