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氷華血鎖【鳴門】

第6章 零部・医者


"これは貴方達が所持していいモノではない"
そうハッキリと言い放ったチヅルは右手で医療忍術を施しながら左手で腰に下げてる刀に手を置く。鉄の国の侍が使う剣術…まだ見た事も無いから見てみたい気はするが。



「お前は治療に専念しろ」

『え?でも人助けはしないって…』

「一応お前の護衛を任されてる身だからな」

『ふふっ…』



チヅルが小さく笑う。



『やっぱりね』

「何がおかしい」

『ううん、なんでも………有難う』



チヅルのその言葉はじんわりと、ほんの僅かな暖かみを胸に灯した。





※※※





腐蝕の傷口の治癒がスムーズに進まない。コレでは無駄にチャクラを消費するだけ。となると。



-ザシュッ-



「ぅぐ…」



腐蝕する部分の傷口を切り取って自らの血を一滴混ぜ込んだオリジナル調合の解毒薬を直接傷口に流し込むと苦しそうに歪められてた男の顔が少しばかり落ち着く。大丈夫、このオリジナル調合の解毒薬でも多少は効力があるみたいだ。



『血遁・浄血の術、毒結晶』



血継限界の血遁と氷遁と医療忍術を合わせた術。血遁・氷血晶の術の医療バージョンで身体に巡る毒を一箇所に集めて氷晶化して、それを除去するだけ。まぁ除去する為には傷口を一箇所でも残しとかなきゃ駄目なんだけど今回はまだ胸の刺傷が塞がってないから胸に氷晶が出来るのでそれを毟り取る。



「ぐっ…」

『よし』



毟り取った後に胸の刺傷を塞げばもう安心。結構、血が流れてたから貧血気味で直ぐには動けないだろうけど生命に別状は無い。



「大した医術だ」



ふと頭上から降って来る声に顔を上げれば興味深そうに此方を見下げるイタチさんが居た。もう片付いたのだろうかと周りを見渡せば山賊達は既に息絶えていた。





※※※





「本当に有難う御座います」



深々と頭を垂れる男にチヅルは小さく微笑む。そんなチヅルを見て頬を染める男。よく分からない変な苛立ちが起きた。



「怪我も治してもらって奪われたものも取り返してもらって…何とと御礼を言ったらいいものか…」

『御礼とかいいから早くその薬、届けてあげれば?』

「ですが…」



再び妹の治療に入るチヅルは興味無さげに言葉を放つ。



「その子供は?」
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