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氷華血鎖【鳴門】

第5章 零部・暁


藤色の瞳と目が合う。



『いいえ、なんでも。誰かの心の声が聞こえた気がしたの』

「チヅ、テメェたまに不思議ちゃんだな」

『そう?普通だと思うけど』



ゆっくりと逸らされる視線。心の中を覗かれた気がした。





※※※





そして更に数日後。事件は起こった。



「はぁっ…はぁっ………ね、ね…」

『大丈夫よマツ。ゆっくり息をして』

「すぅー………はぁー………」

『そう、いい子ね。とっても上手よ』



妹の方が病に倒れた。氷水も長くは保てないくらいの高熱に大量の汗。呼吸をするのもやっとな状況だった。



『トシ、お姉ちゃんの懐から赤い巻物取って広げてくれる?』

「わかった!」



右手で体力を失わない様に医療忍術を施し左手で熱を冷ます様に氷遁をコントロールしてるチヅルの両手は塞がっている。



「俺が出そう」



広げられた巻物に片手を付いて印を結んでチャクラを練れば想像してた通り薬草が出て来る。見たことの無い種類の薬草が多い。



『困った…赤実が足りない』

「赤実?」

『赤い実を付けた薬草があるんだけど希少で湿気の多い地域にしか無い薬草』



湿気の多い地域にしか無い薬草。運良く此処は湯隠れの里の国境である山の中。湿気も多いし山も多いし天候は恵まれてるから難しくは無いだろう。



「わーった、俺が取りに行く」

『…大丈夫なの?』

「あ?どうゆう意味だ?」

『よく似た毒草が「ぼくもいく!」…トシ?』

「いつもねぇねみてるから、ぼくわかるよ」



そんな弟を見てチヅルは嬉しそうに微笑む。



『分かった、任せたよトシ。十蔵さんトシ連れてって』

「おう、行くぜ餓鬼」





※※※





「すー…すー…」



少し落ち着いたみたいで静かに寝息をたてるマツ。これだけの高熱は久し振りだなーって考えてると手が離せないアタシの代わりに薬草を煎じてくれてるイタチさんが口を開く。



「よくあるのか?」

『たまに。最近落ち着いてたんだけど…旅疲れしちゃったのかな』



早く落ち着ける場所を探さないと、そのうちトシまでが寝込む。今ここで二人共寝込まれるのはキツいしトシが寝込むとマツ以上に大変になってしまうから、それだけは何としても避けたい。
マツは寝込んでも女だから体力はある。
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