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君の声で

第10章 遠い人









「主人公名前、これは?」

「あ!うん、それカッコいい」



もうすぐ翔君の誕生日。

いつもは家でケーキを一緒に食べてたけど(もちろん家族一緒に)忙しそうな今年はプレゼントを準備することにした。



「三井君、ちょっと当ててみて?」



そう言うと、三井君は手に取ったネクタイを首もとに持っていく。




うーん…、何て言うか…




顎に手をあて、首を傾げる私に目を細めた彼。



「顔が違う、とか言ったら
 櫻井にお前の気持ちバラす」

「は!うそうそ!思ってない!断じて!」

「…お前、嘘くらい上手くつけよ、
 傷つくぞ!俺だって!」



三井君がこっそりリサーチしてくれたおかげで、次の仕事ではスーツが必要らしく、そのために彼がネクタイを欲しがってることがわかった。


あれから2人はよく連絡を取り合っているらしい。時々かかってくる電話で彼が三井君のことを楽しそうに話していた。




「主人公名前、ニヤついてる」

「あ、ごめん」



彼を思い出すだけでニヤけるだなんて、私も恋愛中毒者の仲間入りだ。



「よし、コレにする」



私は紺の生地に細い赤と白のラインが入ったストライプのネクタイを手に取った。





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