第8章 同じ気持ち
"好き"の2文字にまた鼓動が早くなる。
「主人公名前ちゃんが
名前呼んでくれると
何でも頑張れる気がする。
頑張んなきゃ、って思う」
その聞き覚えのある言葉に、胸の鼓動も止まって。
「同じ…、」
え?と不思議そうに、私の言葉を聞き返す彼。
私はその言葉が嬉しくて、無我夢中で彼の手を握る。
「私も…!
翔君の顔見たらいつも思うよ
頑張らなきゃって、頑張れるって」
いつも私が思ってたことを彼も同じように思ってくれていた。それだけのことなのに、それだけで、なんだか胸の奥がフワフワした。
唐突な私の行動に目を丸くした彼が
「あはは!嬉しそう!」
と顔をクシャクシャにして笑う。
その笑顔で我に返って、知らないうちに手を握っていることに気づいた。
「!ああ、ごめん…!
なんか…嬉しくて、つい」
咄嗟に離した彼の手。
「うん、嬉しいね。
俺も、嬉しいよ、主人公名前ちゃん」
またゆっくりで優しい声。笑う顔。
どうしよう。
昨日まではこんなこと言われても何とも思わなかったのに、今日からはこんな言葉で浮かれてしまう。
とてもいけないことに気付いた…ような気がした。