第8章 同じ気持ち
「主人公名前ちゃん、ど、した?痛い?」
「…え、あ、はい?」
彼の問いかけに、顔を上げる。
「いや、心臓、押さえてるから」
そう言って心配そうに私を見つめる彼が、首を傾げて顔を覗き込む。
『翔様のこと、1回じっと見つめてみて
たぶん何かに気づくから』
佳奈の言葉が頭を過ぎった。
「どうしたの、ボーっとして」
近づく彼の顔、
前髪から覗くのはわざと細めた瞳、
綺麗な白い肌、
赤い、唇がゆっくり動く
近い…
近い…
近いチカい近い…近い!
耐え切れなくなった私は、思わず顔を逸らし
「あ、お、お酒
結構飲んじゃって…、」
と俯いたまま、しなだれる髪の毛を耳にかけた。