• テキストサイズ

君の声で

第7章 意識










考えたこともなかった。





好きとか嫌いだとか、そうゆう感情じゃなくて、翔くんが隣にいるのは私にとって当たり前で。

もちろん好きだけど、それはなんというか" 家族 "。その言葉が一番しっくりいく気がする。



「つまり、翔様のことを男として
 意識したことがないってわけね」

「うん、たぶん」



ないよね?



「側にいてドキドキしたことないの?」




ドキドキ?

ない、よね?




「傍にいてくれたら
 頑張らなきゃっていう
 やる気は起きるんだけど…、」



昔からそう、もちろん今でも。

なぜか悲しそうな彼を見ると「私がなんとかしなくっちゃ」と、そんな変な気持ちになる。

これが恋、とはいうはずもない。




「やる気って…、」



呆れたように笑う2人になんだか申し訳なくなって「ごめん」と謝った。



「なんだ、俺達の勘違いか」

「お似合いだと思ったんだけどな、2人」




" お似合い "、その言葉に何かがフワッと浮くのがわかった。急にきたその衝動、その何かが飛び出てしまう気がして思わず胸を押さえる。



「何。どうしたの、心臓痛いの?」

「心臓?怖いこと言うなよ。
 大丈夫か、主人公名前」



心配する2人の顔に「大丈夫」と答えて。



何故かその時、教室で心配してくれたあの彼の顔をふと思い出して、治まったはずのそれがまた動く。

今度は締め付けられるようその痛み。初めて感じる感覚に訳もわからず、ただ笑うしかなかった。





/ 134ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp