第5章 変わらないもの
また2人きりの場所で視線を合わせる。
「…翔くん、言って良かったの?」
小さく笑った彼がいいよ、と言って。
「主人公名前ちゃんの友達だし。
いいヤツっぽかったし。
つうか別に…言ってもいいのに」
そう言った彼がなんだか寂しそうに見えて、また焦る私の口から出たのは次の約束。
「じゃ、じゃあさ、もう一人、
すっごく大切な友達がいるから
その子にも会ってもらっていい?」
また嬉しそうに笑う彼が
「うん、いいよ。
主人公名前ちゃんの大切な子なら」
とその笑顔にほっ、とした。
「ありがとう、翔くん!
ところで…どうしたの主人公名前って」
「…!…やっぱり気づいてた?
や、なんかさあ、
大事なおもちゃ取られた気分で」
「お、おもちゃ?」
「三井君が主人公名前なんて呼ぶもんだから
つい…慣れないことを」
「あはははは、
今日の翔くんおかしいよ」
「ほんとね。さあて、腕!
包帯グルグルにすっから!」
三井君に翔くんの関係がバレて、なんだか少しだけスッキリしていた私。