第20章 おめでとう
今日は佳奈と三井君の結婚式。
翔君も来るのかな、と淡い期待を寄せる。
結婚式が始まる前の会場で、そんなことを考えていたら二宮さんからメールが入った。
『逃げないって気持ちいいもんですね。
あなたがいたから
素直に伝えることが出来ました。
大丈夫、失敗しても笑ってあげるから』
「なんですか、それ」
子供に言うみたいなソレに、思わず独り言を言ってしまう。
長い間、理由をつけては翔くんへの気持ちを誤魔化し続けた。
彼女がいるから、芸能人だから、
邪魔になるから、支えられないから、
幼馴染みでいられなくなるのが
怖いから。
でもそれじゃあ私は何も変わらない。
私だけが8年前と同じまま、前に進めないまま。
違う。こんなの、違う。
ちゃんと今の自分に正直にならなきゃ、前に踏み出さなきゃ。
私だって出来るはず。
ニノくんが出来たなら
私にも出来るよね。