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君の声で

第18章 彼氏のフリして







「うん、ごめん、そうだよね
 でも主人公名前ちゃんのこと知るうちに
 いつの間にか好きになってた。
 主人公名前ちゃん本人を」

「……」





嘘じゃない。

もしも出会い方が違っていたら、俺に想う人がいなかったら、俺は主人公名前ちゃんのこと…

そう思えるくらい素敵な子だ。



「主人公名前ちゃん、
 ずっと好きな人がいるって知ってる?」

「…え」

「まださ、好きなんだ、その人のこと」

「え、何それ…じゃあなんでニノと」

「俺がそうして欲しいって頼んだんだ」

「…どういう」

「主人公名前ちゃんの
 傍にいたいと思ったんだ、
 無理して笑う彼女の力になれる1番が
 俺だったらいい、ってそう思ったんだ」

「……、」

「ねえ、翔ちゃん」

「…ん?」

「いいの?
 その場所はずっと、
 翔ちゃんだったんじゃないの?
 俺がその場所奪っていいの?」

「に、の?」

「…、それが聞きたかったんだ
 翔ちゃんの気持ちが」














――――――コンコン



タイミングよく扉がノックされる。



「すみません、そろそろお時間です」

「…あ、はい。行きます」



あんなに肝の据わった翔ちゃんが、同様しているのがわかった。



ねえ、翔ちゃん
そんなあからさまな態度ってないよ。
何が翔ちゃんをそうさせてるの?

わかってるなら伝えればいいじゃん。

主人公名前ちゃんの気持ちはどうなるの。



部屋から出ていく翔ちゃんの後ろ姿が少し、悲しそうに見えた。







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