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君の声で

第18章 彼氏のフリして








「お疲れーっす」

「お疲れ様です」



レギュラー番組の収録が終わり、スタッフの皆ににあいさつしながら楽屋へ戻る。

本日私の仕事はこれでおしまい。

2日連続でお昼に終わるなんて、かなりめずらしい。



「ニノこれで終わり?」



隣に並んで歩くのは、さっきの収録で一緒だった大野さん。



「うん、あなたまだあんの?」

「ん、次移動。
 いいなーオイラも帰りてえ」

「まあしっかり稼いで下さいな」



他人事、と言って笑う大野さん。

楽屋の扉を開けると、すでにそこへ戻っていた人を発見。



「あ、お疲れー」



そう言った彼は低いテーブルに、いくつも新聞を広げ着替えの最中。

後ろからついて来たマネージャーが「では後ほど」と言って部屋から出て行った。



「翔ちゃん次このまま?」

「そお、たぶんすぐお呼びかな」



新聞に目を通しながら答える彼。

さっき戻って来たのに、いつの間にか大野さんは着替え終わっていつものキャップをかぶっていた。



「じゃ、お疲れー」

「お疲れー」

「あーい」



大野さんに適当な返事をして、衣装を脱ぎながら横目で翔ちゃんを見る。

なんて切り出そう、言うなら今ですよね?





主人公名前ちゃんに「言った方がいいのかな」と聞かれ、結局言わないのも気持ちが悪いから、そういう結論になった。

私的には始めっから言う気で、じゃないと私が動いている意味がない。






さあて、なんて言おうか…

翔ちゃん、私あなたの大切な主人公名前ちゃんにキスしちゃいました。ちなみに付き合ってるんで、よろしく。

…いや、これじゃあ唐突過ぎるか、翔さん泡吹きそう。





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