第7章 旅行
「あ、健斗さん、おみやけ屋さんがありますよー!」
お土産コーナーに入った。ふわふわのイルカやジンベイザメやサメ、ゴマアザラシのぬいぐるみや、キラキラした小さなキーホルダーが売っている。
「あ、コレ可愛いー」
水色のジンベイザメの小さなぬいぐるみ。キーホルダーになっていて、金色の鈴もついている。触れると、チリンと鳴った。鞄につけるチェーン付き。
「それ、土産に買うのか?」
さっそく、わたしが買い物カゴに軽快に入れたら、カゴの中を田中先生がジッと覗いた。
「はい!可愛いしバックにつけようかと。あとはー、缶のクッキーとか、ハンドタオルとかー」
ポイポイ好きなグッズをカゴに入れていく。心配無用だ。わたしはバイトで稼いでいるのだ。多少の贅沢は許される。
「市川、これは?好きだろ?」
「ホントだー!!かーわーいーいー!あーーーいや、でも予算がー」
田中先生が手に持つのはシャーペンと4色のボールペンが全部セットになった多機能ボールペンで、ペンの側面にジンベイザメやアザラシやペンギンが可愛く描かれている。背景がピンクと青と2色展開だ。残念ながら、お値段は可愛くない。
「バイトでも使えるだろ」
「たしかに。いや予算が」
「そんな小さな事で悩まなくていい」
なんと田中先生は青もピンクも多機能ボールペンを買い物カゴに入れてしまう。
ついでにさっきのジンベイザメのぬいぐるみのキーホルダーの藍色バージョンをいれた。あ、あ、いや、それも可愛かったけど…いやいやでも予算が…!!