第5章 奴隷として
「……どうぞ」
わたしは、苦渋の顔で紙を机上に差し出した。目の前に座るのは田中先生。
はぁぁ……。これで……わたしのバイト人生は土日祝日のみ。いや、人数オーバーなら、それすら入れない。あー。悲しき人生。
お金をガンガン貯めて、大学デビューしようと、目論んでいたプランは水の泡だ。
「お前は勝手にバイトへ行くかもしれないからな。念には念だ」
シフト表を確認して、満足したのか、田中先生は、紙を私に戻した。静かにそれを受け取る。
はぁーー。お婆ちゃんみたいに、ため息しか出てこない。 なぁぁんで、こんなことにーー??酷くなーい?
「ーーで? とりあえず何をすれば、良いのですか?」
魔の課題はやっと終わった。田中先生は、課題中は結局なにも仕事を押し付けてこなかった。
筋金入りの美術教師は、「妥協」という言葉を知らない。何度やり直しを食らったか。あー悔しい悔しい!
やっっっと、昨日すべての課題が終わった。約2週間。結局2週間もかかってしまった。はぁぁ……。
しかもーー今日はクリスマスイブ。
あ、彼氏なんかいないよ?
学校も冬休みに入った。革のブーツや、女性靴をガンガンに売れる時期だ。売れば売るほど寸志が出る。
それなのに。
いま学校にいる。本当ならばバイト人生を謳歌していたのに。
どこをどう転べば、冬休みに、
わ・ざ・わ・ざ☆
学校へ行こうと思うのだろうか。
いいや、誰も思わない。
だいたい誰もいない。わたしと先生だーけ。あと外のグラウンドで野球やサッカーの部活動する人たちだけであった。