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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第5章 〜怪盗キッド対策会議





そして一方。コナンから逃れて、無人の廊下を歩く麻衣達の様子は。周囲の隈なく警戒をしつつ、伊達広光もとい大倶利伽羅が衝撃の事実を言い放っていた



「……え?あの子供と安室探偵って、偽名を名乗ってたんですか?」

「ああ」



隣り合う護衛を麻衣が見上げ、大倶利伽羅が小さく頷く。やり取りは小声で行われており、廊下に響くことがない



「でも、何のために?」

「知らん。大方、人には言えない複雑な事情があるんだろ」

「それもそうですね…。敵意丸出しの子供は兎も角、安室という男性に嫌なものはなかった」



そう言って、一人顎に手を当て麻衣は暫し思考する

大倶利伽羅も口ぶりからして、少年の異質さを察していた。麻衣と同い年ほどの魂を持って幼い体で生きる存在。矢張り、軽く数百を生きる神にもコナンの存在は謎だった。呪いの類か人為的なものか。とりあえず、ただならぬ事情で『江戸川コナン』を名乗っているのだろう。純粋な正義感と好奇心を持つ少年だが、行動力が危うかった

しかし、安室の方が最も不思議だ。厄介ごとを背負って見える。最初こそ柔和な態度の裏で、探りを入れつつ警戒して来た。コナンほど苛烈な毛嫌いはないが、様子見と言った方が正しかった。けれど今では寧ろ好意的で、穏やかに見守る雰囲気でいる。単に探偵だからでは無い筈だ

二人とも核である魂は綺麗に光り輝き、善良な市民に違いはない。偽名を使う理由は謎だが詮索しては駄目だと察せた。如何やら、米花町は犯罪都市として以外にも、大きな厄介ごとを抱えているらしい



「……今後、彼らと関わるうえで何も無ければいいのですが」



ポツリ、とため息混じりに零した。叶わぬ望みという予感がしている。大倶利伽羅も無言を貫き、先の自分達に憂いていた

ギィィ……ッ

不意に、足音だけの静かな廊下で、甲高く軋む音がする。麻衣達は直ぐ目の前の部屋で扉が開かれ、通り過ぎざまに中を見やった

視線が絡んだ。大柄な男で白髪の隻眼、右目の方だけ火傷を負って右側が黒い眼鏡をかけている。顎髭も生やして、子供が怯える恐ろしい顔をした見た目だった

ところが、彼らは一瞬だけ目を合わせるも、何事もなかったように動じない。麻衣達は通り過ぎ、廊下に出た男は扉を閉め、互いに反対方向へ歩いていった───
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