第1章 -白銀の中で-
ただ一点に向かって真っ直ぐ歩いていた
目的地があるわけではないが 歩かなければならないと思っていた
普通じゃないこの世界では この場で寝ても凍死する事は無いだろう
永遠に続く白銀の世界 ふわふわと降ってきていたものが 一瞬物凄い吹雪に変わった瞬間
は この世界の中で唯一知っている者の雰囲気を感じ取った
吹雪が目に入らない様にと閉じていた瞼を開けば
目の前に黒いローブが見えた
それが がこの世界で唯一知っている者
『…エインズ』
「探したよ 」
本当は探すも何も最初からどこかで見ていたんだろうと思う
黒いローブを着た 背の高いこの男は
その風体にあった
魔法使いだからだ
「とりあえず 家に帰ろうか
君にはこれから 色々と説明しなくてはいけないからね」
『分かった』
この男が 持っているステッキを白銀の地面に突き刺し 呪文を唱えると
忽ち景色が一変し
白銀の世界から 暖炉のある 暖かい家に様変わりした
こんな 魔法使いが現れても 何も違和感を感じない この世界は
とても不思議で 美しい