第1章 幼い士族が抱く使命ー序章ー
その頃
シャボンディー諸島。
珍しく風は吹き荒れ、シャボン玉の生ずる音も聞こえぬほどだった。
こんな時に限って食材を切らした自家用の食材。シャクヤクに買い出しに駆り出されシャンクスと出ていると
ふと暖かい風が体を包んだ感覚にような感覚に陥って、無意識に足が止まり、
ふと涙が一滴頬を伝った。
「どうした?ユリ。」
異変に気づいたシャンクスが顔を覗きこんだ。
「わかりませぬ.....。ただ....
ただ.....父上、はっんく......!!?」
溢れだし留まることなく流れる涙に戸惑っていると、何かを察したシャンクスがもういい、何も言うなと、
己の胸に抱き寄せた。
次第に、この風と涙の現象が
父と母、おでん様、トキ様がもうこの世にいないことを知らせる物だと理解できてきて、
私は声をあげて泣いた。
それでも、何も聴かずただただ、強く抱き締めてくれている腕の中は、抱き締める強さとは対照的に、
子供をあやすようなモノと違って大事なものを包むような暖かさを感じた。
「今はいっぱい泣いてもいい。
いっぱい悲しんだ後、前を向いて強くなれ。
そいつが、亡くなった者への弔いとなる。」
抱いていた手が離れ今度はしっかりと両肩をもち、目を見た。
「ユリは使命って言うのがあるんだ。
目的を果たすため、自分と自分が守りたい者のために強くなれ!
それまでは、親がいなくなろうが、大事なやつをいくら失おうが、
俺は死なないでお前達を見守っててやる。
わかったな?」
「シャンクス....
......はい!!
リドル・ユリ、必ずや......強くなりまする!」
ボロボロに涙を流しながら誓った言葉は、
希望を託し、国から私たちを逃がした父母、主君へ
そして、今守ってくれる者達への"決意の気持ち"だった。
幼女の真剣な眼差しを見て、二カッと笑い、その頭をガシガシと撫でた。