第1章 ハニー・ヌードショー
他にもタンクトップを着た男が数人いて、彼女はとっさに体を隠そうとするが、拘束されている手が動くことは許されなかった。
どうやら台車の後ろに棒のようなものが刺さっていて、そこに腕を縛り付けている手錠のようなものがさらに結び付けられているようだ。時折、彼女の背中に金属棒の冷感が触れる。
周りを見回すと、そこは舞台裏のような所だった。カーテンの隙間からは、こじんまりとしてはいるが、舞台のような空間が見えた。
「本日も美人を用意しております。皆さん楽しんでいって下さい!」
マイクで話す男の声が響く。その声とともに彼女が乗る台車は動かされ、舞台の真ん中へと運ばれる。周りの男達もついてくる。
舞台の暗幕はまだ降りている状態だったが…。
(もしこの向こうに人がいるとしたら?)
彼女の心臓がドクンドクンと早鐘のように響く。
これからいいことが起こるとは全くもって思えない。
(最後の望みは『彼』しかいない…。)
「たすけて…」
彼女は小さく、祈った。