第1章 ハニー・ヌードショー
「どうしたんだい?」
声を我慢していたことを彼は不思議がり、彼女の顎を持ち上げ、尋ねてくる。
「はぁっはぁっ……ひ、人が…はぁっ…」
彼はゆっくりと客席に目をやる。
「ひいっ…!」と物陰に隠れていた人間が尻もちをつく。
彼は目にも止まらぬ速さで、ピストルを構え、銃弾を発射した。
バァン、バァンと銃声が響くと、まだ2、3人残っていたらしく、悲鳴とともに出口に消えていったのだった。
「に、人間に当てちゃダメですよ…!」
銃の効力は人間にも有効で、処刑されたり魔界へ強制的に連れていかれたりしてしまう。
「分かってるよ。さて…」
そして、銃はまた無造作に置かれた。
「続きをしようか。」
「はぁ…その前に縄やら手錠やらを外してもらえませんか…。」
自分のベルトを外し始めた彼に、ダメもとで頼んでみる。
「どうしてだい?なかなかいいと思うよ。」
そう言いながら、彼は何かに気づいたようにベルトを外す手を止めてマイクスタンドを引き寄せる。
「何してるんですかそれ。」
「こうしたらここの音がよく聞こえるだろ?」
「ほんっとにやめてくれませんか…。」
抗議むなしく、マイクが台車のすぐ横、もっと言うなら彼女の体の側に置かれてしまった。
「あぁ、あとこれもあったんだ。」
そう言うと彼はどこからともなくハンディカメラを取り出し、台車に置く。
「それ録画してないですよね!?」
「安心しなよ。してないさ。ただほら、君気づいてなかったと思うけど……」
そう言いながら、彼は台車を客席と反対側に向くように回転させる。--マイクスタンドも一緒に。
「こういう仕掛けになってたんだよ。」
舞台の壁には大きなスクリーンがかけられており、そこには何かが映し出されていた。
何が映されていたかは、彼がハンディカメラを手に取り、こちらに向けた時にようやく理解した。
「これ…!」
そこにはあられもない彼女自身の姿があった。
「後ろの客にもよく見えるようにって工夫だったみたいだね。」
そう言ってすぐに、彼はすぐにモノを取り出してきた。