第76章 聞いて※

「あっ、ンん･･･っ、いぁ･･･ッ！！」

ゆっくり開始されるピストン運動に、手も足もガクガクと震えが走った。

突かれる度に、押し上げられるように甘ったるい声が部屋に響いて。

「ひなた･･･っ」

苦しそうに、切なく、それでいて優しく呼ばれれば、心臓までが快楽に溺れていくようだった。

彼の言葉、動作、一つ一つがまるで媚薬のようで。

「零･･･っ、ぃあ･･･れ、い･･･っ！！」

求めるように名前を呼べば、腟内の質量がどこか増したようにも感じた。

苦しいけれど･･･それはもう、先程までの苦しさでは無くて。
快楽を含む苦しさ。

ここまで来れば、もう私は獣同然だ。

ただ彼からの快楽に溺れるだけ。

好きだという感情に身を任せるだけ。

「あっ･･･ンぅ･･･ひ、ぁあ･･･ッ！！」

絶頂を迎えた直後に挿入されたせいか、あまりにも敏感に、確実に快楽を拾い集めていった。

再びその感覚を得るのは、そう遠くないと悟りながら彼の腕を半ば無意識に掴んで。

目の前が、チカチカと電気が走るように時々明るくなる。
その度に震えては声を漏らして、息をするように彼の名前を何度も呼んだ。

早くはないけれど、突かれる強さと深さはいつも以上で。
いつもと違うというそれだけで、快感の得られ方は変化を見せた。

「れ･･･っ、いぁ･･･や、ンん･･･ッ！！」

また溺れてしまう。
あの感覚が襲ってくる。

いつもとは違う速度で、私を引きずり込んでいく。

「･･･ひなたっ･･･」

そんな声で呼ばないで。
貴方が好きだという感情で、押し潰されそうになるから。

「あっ、れい･･･ッ、零･･･っ！！！」

彼が片手を伸ばし、私の頬に添わせて。

その手の上に自身の手を重ねた瞬間、一際強く奥を突かれた。

それは私を突き落とすには、十分過ぎる快楽で。

「い、ぁ･･･ふ、ンあ･･･あぁぁあッ･･･！！！」

彼の小刻みな小さい震えも感じると、互いに落ちたのだと感じられた。

この瞬間の背徳感と快楽は、何度感じても慣れることは無い。