第70章 巡遭い

「･･･くっそ、アイツら･･･っ」

コナンくんが子ども達に電話を掛けてみるが、こちらも案の定繋がらなくて。

本当に気付いていないのか、それとも無視をしているのか･･･恐らく後者だろうが。

「多分観覧車じゃないかな。･･･行ってみよう」

子ども達はすごく乗りたがっていたから。
きっと行くなら、そこだろうと思った。

私の提案にコナンくん達が頷くと、みんなで観覧車のエリアまで急いだ。

「･･････」

子ども達もそうだが、やっぱり零の事も気になって。
風見さんに連絡を取ってみようかとも考えたが、公安の仕事が忙しくなると、彼は言っていた。

それが本当かどうか分からないが、もし本当だとしたら、風見さんも勿論忙しくなっているんだろうから。

まだ何か起こった訳では無い。
何かが起こってからでは遅いのは分かっているが･･･。

「･･････！」
「どうしたの？」

観覧車に向かっている最中、コナンくんがその足を急に止めて。

「電話だ。もしかしたら･･･やっぱり」

ポケットからスマホを取り出し画面を確認すると、それをそのまま私達にも見せてくれて。

そこには光彦くんからの着信画面が表示されていた。

「光彦、お前なあ！」

電話に出るなり、彼は大きく文句を吐いて。
とりあえず、連絡が繋がった事は良かった。

･･･そう思ったのも束の間だった。

「歩美？どうした？」

どうやら電話を掛けてきたのは光彦くんではなかったようで。
異常を察したようなコナンくんの表情が気になり、彼のスマホへと耳を近付けた。

『観覧車に乗ってたら、お姉さんの具合がわるくなっちゃって･･･頭を抑えて苦しそうにしてるの･･･』

泣きそうな声で助けを求める歩美ちゃんの声が聞こえる中、遠くの方で銀髪の彼女の呻き声も微かに聞こえて。

「私、スタッフさんに伝えてくる」

哀ちゃんにそう伝えて、一人スタッフルームへと走った。

とにかく、今はジッとしていることができなくて。