第61章 悪い事※

「もう少しです」

そう言いながら彼のモノがグッと押し込められた。

苦しいくらいに満たされているのに。
何かが足りないと体は叫んでいて。

それが何なのかは･･･分からなくて。

「･･･ッあ、･･･ん、ぁあ･･･！」

どうしても無意識に入ってしまう力が肩に痛みを与え、まるでそこに心臓があるようにドクドクと脈を打った。

「必要ですか？」

そう言って彼の指がなぞったのは、私の唇。

何を意味するのかくらいは、私にも分かった。

「･･････っ」

いらないと言えれば良かったのに。
欲しいのは貴方じゃないと言えれば。

でも。

「素直な良い子ですね」

気付けば固く目を瞑り、彼の方を向いてそれを強請っていた。

最低で･･･醜い。

分かってはいるのに、制御できなくて。
彼の唇が落とされると、縋るように舌を絡め合わせた。

「･･･っんぅ！ん、ン･･･ッ！」

気を抜いた一瞬を彼は見逃すこと無く、一気に腟内を埋め尽くすと同時に、奥を強めに刺激して。

心臓を抉るような快感が頭を真っ白にさせ、それだけで再び達してしまいそうだった。

「痛くありませんか」

離した唇は一度頬に落とされ、耳元でそう囁かれた。

いつもなら･･･零になら。
痛くても、大丈夫だと答えているはずなのに。

「痛い･･･です･･･っ」

昴さんには素直に返していて。

勿論皮肉も篭ってはいたが、彼には嘘をついても意味が無いと分かっていたから。

でもそれ以上に、嘘を吐かない自分をどう受け止めてくれるのかどうか、昴さんで試していたのかもしれない。

彼では参考にならないと頭では分かってはいても、言葉は勝手に口から吐き出されてしまっていた。

それだけ自分の嘘には･･･色んな意味で自信が無かった。

･･･昴さんは何だって分かった上で返答するとも、分かっているのに。

自分のズルさが酷く低劣だ。