第48章 不可欠
「ごめんね、沖矢さんの意地悪が移ったみたい」
おどけるように笑顔を作ってみせると、コナンくんはあまり納得していなさそうな笑顔を返してくれた。
大丈夫か、と言われれば大丈夫ではない。
でもそんなこと、コナンくんに言えるはずもない。
悟られてはいけない。
そう思っているが、こうやってコナンくんが質問してくる辺り、無理しているつもりはないけれど、何となく気付かれているんだろうな、と思って。
この子は何かにつけて勘が良いから。
「無理・・・しないでね」
いつも以上に心配してくるコナンくんに、やっぱりそう思われているんだと確信して。
「・・・コナンくんもね」
彼は小さなその体に色々背負い過ぎている。
それでも彼は、歩みを止めないんだろう。
その理由を、透さんと同じく・・・突き止めてみたい気はした。
私の言葉に小さく頷く彼を見ながら、脳内で今後の予定に一つ付け加えをした。
「それと、ひなたさんに改めてご忠告です」
小さな咳払いをして注意を引くと、いつもとは違ってちゃんと真剣そうな彼の雰囲気に、自然と背筋が伸びて。
「今後はこれまで以上に気を付けてください」
何を、とは言わないが、その内容は理解しているつもりで。
「・・・はい」
透さんのことを含め、今まで以上に全ての行動に責任を持たなくてはいけない。
きっと透さんは、今も私がここに居ることを知っているんだろうし。
それについてはどうするか聞いていないが、沖矢さんの言葉を纏める限り、透さんが私のことには今後触れることはない・・・と見て良いのだろうか。
「では、早速で申し訳ありませんが、自室で待機をお願いします。昼食は僕が運びますので」
そこまで徹底する意味は分からなかったが、ここでは彼らがルールだ。
・・・今まで以上に。