第44章 掠めて※
「ン・・・、あ・・・ッ!」
ゆっくり抜かれては、また入れ直されて。
暫くはそんなもどかしい動きを繰り返された。
これは、彼なりの意地悪なんだろうか。
「ここ・・・弱いところでしたよ・・・ね」
そう言いながら、的確に敏感なところを刺激してきて。
「ああぁ・・・ッ!!」
結合部からグチュグチュと響く卑猥な音も、室内に反響するのが耳に入れば、いかにそこが濡れているのかが分かる。
「優しくないのがご希望でしたので・・・遠慮なくいかせて頂きますよ」
それを合図に何度も弱い部分を攻められ続け、あっという間にあの感覚が襲ってくるようだった。
「や、ぁあ・・・ッ、ん・・・!!」
自分の甘過ぎる声が何度も耳に入ってくる。
少し痛かった繋がりも、今はそれすら快楽に変わっていた。
「も・・・ッ、とおる、さん・・・っ!!」
頭が真っ白になりそうな、あの感覚。
全身がそれを、今か今かと待ち構えていて。
大好きな彼で満たされれば、これ以上嬉しいことはない。
それを噛み締めるように、また抱きついている腕の力を強めた。
「イっていいですよ」
「・・・とお・・・る、さん・・・ッ!」
心臓が大きく、ドクンッと音を立てた。
その瞬間、奈落へ落ちるように快楽の沼へと引きずり込まれて。
「や、ぁ・・・っああぁぁ・・・!!」
今まで以上に声を響かせながら、呆気なく絶頂を迎えた。
「ひぁ・・・ッん・・・!透、さ・・・ッ!?」
一度絶頂を迎えたにも関わらず、その動きが止まることはなくて。
快楽に敏感になった体は、痙攣するようにビクビクと体を震わせた。
「あ・・・っやぁ・・・!だ、め・・・ッ!」
「そうは・・・見えませんよ」
未だ的確に弱い所を攻め続ける彼に、優しくしないでなんて言わなければ良かったと後悔し始めて。
・・・こんなに気持ち良くなってしまえば、忘れられそうもない。
それはきっと、どちらを選択しても同じだったと思うが。