第39章 追求心
「どうぞ、乗って」
「あ・・・はい。失礼します」
透さんの車とは違う高そうな車で。
緊張しながら助手席に乗り込み、シートベルトを締めるとジョディさんは車を発進させた。
「・・・あの、話ってなんですか?」
赤井秀一のことも気にはなるが、それよりも気になるのは彼女の話で。
わざわざ会って話すということは、それなりのことなのだろうから。
「簡潔に話すわ。貴女、組織について知っているそうね」
やっぱり、組織についてなんだ。
「・・・はい」
でも私が知っているのは、透さんがバーボンというコードネームで組織にいること、他にウォッカという人物がいること、そして・・・兄が潜入捜査をしていたことくらいで。
「コナンくんから少しだけど話は聞いているわ。貴女が兄と慕う彼の事も」
「何か知っているんですか・・・!?」
少し彼女に身を乗り出すように尋ねた。
あれから兄については殆ど情報がない。
何か少しでも知れるなら・・・そう思った。
「残念だけど、その彼については私も分からないわ」
「・・・そう、ですか」
一気に入った力が抜けるように、視線を落とした。
勝手な期待を抱いた分、思ったよりもダメージは大きかった。
「ごめんなさいね」
「いえ、こちらこそすみません・・・」
ジョディさんが謝ることなんてないのに、と思いながら少し顔を上げて。
その時目に入った彼女の表情は、何故か少しだけ悲しげにも見えた。
「・・・貴女、バーボンとよく会っているそうね」
ドクン、と心臓が大きく揺れた。
そうか、彼女はFBIだ。
そしてコナンくん同様、組織を追っている人達で。
例え組織に直接関わりを持たない私でも、組織の人間と度々会う関係なら、色々疑われても仕方がない。
コナンくんにだって、危険には合わせないが透さんを優先すると伝えている。
それをFBIの彼女達がどう捉えるかなんて・・・考えていなかった。