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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第37章 好きで※




「だめ・・・ですか・・・?」

ズルい聞き方だとは知っている。
知っていての問いかけ。

「だめだと言ったら貴女が困るでしょう?」

それはそうだけど。

「透さんは・・・?」

私だけじゃ嫌だ。

「勿論、困ります」

そう言って顎を掴まれ小さく持ち上げられると、唇が降りてくる。

・・・はずだった。

「・・・・・・?」

自然と目を瞑り、その時を待ったのに。
透さんの顔は直前で止まっていて。

「・・・どうして欲しいですか?」

何となく、状況を察してきて。

これが彼の言うお仕置きなのか、と。

「キス・・・してください」
「それだけでは貴女を満足させられそうもありません」

どういう意味だろう、と一瞬考えた時に思い出される数時間前の出来事。

同じ言葉で彼に求めた時、それはもどかしいものとして成されてしまったことを。

「・・・ッ・・・」

溶けてしまいそうなキスが欲しい。

舌を絡ませて、息ができなくなるくらい、深いキスが。

でもそんなことが私の口から出てくるはずもなく。

「ひなたさん」

名前を呼んで急かされると、私の中の欲望も急かしてきて。

気持ちを紛らわすように、そっと透さんの手を掴み、下に降ろしながら握った。

「・・・っ、透さん・・・」
「なんですか?」

許してほしい、なんて心では言ってみるが声には出せなくて。

全部自分が悪いから。

「透さんのキスが・・・欲しいです・・・」

それが精一杯。

「具体的に、お願いします」

きっと顔は真っ赤で。

とにかくそれを見られたくなくて深く俯いた。

「・・・ッ」

言うより自分からしてしまった方が、早く、恥ずかしさも軽減される。

そう思い、意を決して唇を勢い良く近付けた。

「ダメですよ」

握っていた手とは反対側の手で、素早くそれは受け止められてしまって。

懇願する目で彼に訴えかけたが、今の彼には届かないようだった。

「そんなに可愛い顔をされてもダメです。きちんと言ってください」

ゆっくりとその手を剥がされると、行き場の無くなった唇が解放されて。

もう私にはその道しか残っていないことを痛感した。



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