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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第35章 正して※




愛撫が続いていた蕾から唇を離し、小さくこちらに顔を向けられて。

「・・・ひなたさん」

名前を呼ばれただけなのに。

体にゾクッという刺激を受けて。

「はい・・・」

早まる鼓動の中、小さく返事をした。

体全部が、彼を求めていて。

触れてほしい。

もっと彼を感じたい。

ずっと、繋がっていたい。

欲求はその欲をどんどんと膨らませていって。

「名前を、呼んでくれませんか」

少し改まったように言われて。

何故だろうという疑問はあったけれど、それが彼の望みなら。

「透・・・さん」

彼の目を見て、求めるように名前を呼んで。

それを聞いて透さんは口角を上げた。

・・・なのにどこか悲しそうで。

「・・・ありがとうございます」

お礼を言いながら顔を伏せてしまって。

泣きそう、とも見えた一瞬のその表情にどこか不安が募った。

「・・・透さん?」

透さんがするように、そっと彼の頬に手を伸ばして。
触れた髪が柔らかく手からすり抜けていった。

沖矢さんのことがあるからか、今日の透さんは少し様子がおかしく感じられて。

頬に添わせた手に、透さんの手が重ねられて。
キュッと強めにそれを握られれば、心臓も同じように締め付けられるようだった。

「・・・すみません」

いつも謝るなとよく言う透さんが珍しく謝って。
何だかいつもと立場が逆転してしまったような感覚に陥った。

「透さんが謝る理由を私は知りません」

それを知りたいとも追求したいとも思わない。
ただ、彼が苦しんでいるようには見えた。

それについては、放っておくことはできない。

「私が透さんの邪魔になった時は、迷わず言っ・・・」

「そんなこと、あるはずもありませんよ」

食い気味で透さんに反論されて。
表情は読み取れないが、真剣な声ということだけは分かった。

それにほんの僅かな怯えに似た恐怖はあったが、それ以上に安心感があって。


「その時が来るまでは、僕から離れないでください」


やっと上げられた顔は、今まで見たことのないくらい決意に溢れた顔で。

色んな意味で大きく心臓が高鳴った。

彼の言う『その時』という物に、とてつもない恐怖を覚えながら。



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