第116章 安室2※
僕の返事に、彼女は数秒の間を作った。
・・・いや、作ったのは僕の方か。
ひなたさんの吸い込まれそうな瞳に、見とれていたとも離せなかったとも言える状況を、咄嗟に誤魔化そうとして。
ゆっくり顔を近付けると、彼女は同時に瞼を下ろした。
そのまま唇を触れ合わせれば、既にそこは受け入れ態勢に入っていて。
「ん・・・、っんン、ぅ・・・」
容易に入った舌をひなたさんの舌へと絡ませると、時々口内で互いが混ざり合う音が聞こえた。
・・・らしくない。
こんなやり方、バーボンらしくない。
それは自分がよく分かっているはずなのに、どうしても彼女に優しく触れたいという思いが強くて。
「・・・ふ、ぁ・・・んっ、んン・・・っ!!」
それでも僕は・・・今はバーボンという人間でいなければならない。
キスはそのまま、彼女の力が抜け、キスに意識が奪われたのを感じた瞬間。
ゆっくりと腰を動かし始め、快楽を与えた。
その瞬間から、僕の口内にひなたさんの甘い声が吐き出されて。
「んんっ、ン!・・・ぅ、んんン・・・っ!!」
腰を動かし、ゆったりとした突き上げをすれば、彼女は苦しさからか唇を離そうとして。
それを防ぐ為に後頭部へと手を回し固定すると、更に深く口付けた。
「んっ、んんぅ・・・!!」
僕の肩を押して訴えてくるが、何かを悟られる前に・・・と肌をぶつけ合った。
ベッドが軋む音と共に、ナカで混ざり合う音も同時に響く。
彼女が時々外を気にする素振りを見せていることにも気づいてはいたが、情けなくもそれに対応する余裕が無くて。
「・・・っん、は・・・っ!」
唇を離せば、呼吸を乱し汗で髪が顔に貼り付く彼女の姿が目に映った。
僅かに涙目というのも足された上での、快楽に揺れた表情で、僕の心臓が穏やかなはずがない。