第116章 安室2※
「・・・ん、っ・・・!」
テニスウェアの裾から潜り込ませた手は、あっさりと胸の膨らみまで到達して。
下着の上から包むように、指を軽く沈ませた。
「ぁ・・・う、ん・・・」
甘くくぐもった声に体が反応するように視線を動かすと、手の甲を口に押し当て、声を我慢する彼女の姿が視界に入った。
あの時よりも少し明るい部屋は、彼女の表情がより鮮明に見えて。
気持ちと罪悪感を煽る感覚に必死に耐えていると、彼女はそっと顔を俯かせるように下を向いた。
「ふ・・・、あっ・・・」
表情を見られたくなくて、そうしたのだという事は理解している。
が、それを見たいというのが男の本音であって。
彼女のテニスウェアを胸の上まで捲り上げると、下着に包まれた膨らみが露わになり、それをそこから解放すれば彼女の顔は一気に赤へと染め上がった。
「あ・・・、まっ・・・!」
咄嗟に、露わになった胸を両腕で隠すが、もう目に焼き付けてしまった、と笑みを零して。
「もう、一度見ていますから大丈夫ですよ」
僕のその言葉に、そういうことでは無いとでも言うように、上目で僕を見上げてきた。
彼女はやはり、無意識で煽ることが得意なようだ。
「それに、ひなたさんの体はとても綺麗で魅力的ですから」
「・・・っ」
・・・正直、体が綺麗かどうかはどうだって良い。
ただそれは決して悪い意味ではなく、彼女に触れるのは彼女自身だから、という意味で。
勿論、彼女の体は綺麗で魅力的で、言葉としての偽りは無い。
ひなたさん自身ということに意味があるだけで。
隠された膨らみを再び解放する為に、覆い隠している彼女の腕を、手を掴んで取り払った。
腕を掴んで、彼女が怖がってはいけないから。