第115章 番外1※
「・・・うん」
「・・・!」
別に、嘘をつく必要はない。
ここで彼に体を見られる羞恥より、正直に言う羞恥の方が余程軽い。
「べ、ベッドなら・・・いい」
そもそも、これが本音だ。
それを言っても、バチは当たらないはずだ。
そう、思った直後。
あまりにも貪欲過ぎただろうかと急に不安になり、反応を確認する為に小さく振り返ろうとしたけれど。
背後から肩にズシッとした重さを感じ、途端にそれを防がれた。
「・・・そういうことをされると、困るんだがな・・・」
ため息混じりに聞こえてきた彼の言葉に、それはこちらの台詞でもあるのだけど、と心の中で呟いて。
肩から伝わる彼の存在に、心臓が更にバクバクと音を立てた。
「わ、ぁ・・・!?」
数秒後、気付けば私の体は湯船の中から彼の腕に抱えられながら、いつの間にか出てきていて。
突然晒された体を自分の腕で覆い隠しては、戸惑いと羞恥と混乱とで脳内を掻き乱した。
そんな私を彼は脱衣所で下ろすと、バスローブを私に羽織らせて。
湯船に浸からないように纏めていた髪の毛は、その場で解かれた。
その格好のまま再び抱き抱えられると、彼は私の要望通りにベッドルームへと向かって。
「っ!」
私をベッドへ落とすように下ろし、すかさず四つん這いで私の上へと覆い被さった。
まだ少し濡れている彼の髪から、1つだけ雫が私の頬に落ちて。
「・・・ッ」
風邪を引いてしまう、なんて気遣いの言葉さえ出てこなかった。
「最近触れられなかった分、今日は存分に触らせてもらおうか」
今すぐ、彼に触れてほしくて。
1分、1秒すら・・・待てなくて。
「・・・っん」
食べられるようなキスをされると、彼の体重が優しく私の上にかけられて。
・・・体が冷たい。
素肌同士がくっ付いているせいか、普段はあまり感じることの無い感覚に、欲望は更にゾクゾクと湧き上がってきた。