第114章 安室1※
「あ・・・っあ、とお、る・・・さん・・・っああ、あ!」
・・・そんなに首を振っても、止めてやることはできない。
「・・・僕も、もう限界・・・です・・・っ」
今止めてしまえば、尚更彼女を壊しかねないから。
容赦さえできなくなっている自分に、情けない、と何度目か分からない言葉を脳内で繰り返した。
「あっ、だめ・・・あぁ、あん・・・っ!」
「・・・っつ・・・!」
・・・ダメ、か。
そうは見えないが。
そう言う余裕さえ残ってはいない。
彼女の奥をトドメと言わんばかりに強く突き上げた瞬間、彼女の背が大きく反らされて。
「ぁ、っあぁぁああ・・・っ!!!」
それと同時に、強く締め上げられ。
彼女が達すると同時に、僕も快楽に溺れてしまった。
「・・・っは、はぁ・・・は・・・・・・」
・・・らしくない行為をした。
そのせいか体の反動はやけに大きく、情けなくもすぐには考えが纏まらず、暫くはただ呼吸を繰り返すだけになった。
数十秒後、ぐったりとする彼女にハッとして。
「・・・ひなたさん、大丈夫ですか?」
声を掛けたけれど、彼女から返事がくることはなく。
瞼も、閉じられたままだった。
段々と落ち着いてくる彼女の呼吸を見て、眠気に負けたのだと察すると、ほんの少しだけ安堵して。
その愛らしさからか。
思わず、触れるだけのキスをした。
「・・・・・・」
ここまで惑わされるとは思わなかった。
予定外と言えば、そう言える事態ではあったが。
そんな事、今まで何度もあったのに。
・・・こんな交わり方をしたのは初めてだ。
「・・・っ」
熱がまだ残る中、彼女のナカから埋め込んでいたモノを引き抜いて。
身支度を整え、彼女の体を拭き、服を着せて。
メモ用紙に、彼女へのメッセージを書くと机の上に置いた。
ちょっとした、プレゼントと共に。
「・・・・・・」
酷い人間だ。
分かっていながら、そんなやり方しかできない。
静かに眠る彼女の顔を覗き込んでは、小さく息を吐いて。
暫しの別れのキスを彼女の額に落とすと、その日の内に、僕は事務所を後にした。
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