第112章 恋愛で※
「僕が命に変えてでもひなたを守る」
・・・すごいな、彼は。
今まで大切な人を何人もなくして。
恐怖だってあっただろうに。
それを越えていけるなんて。
「それに、守る人を増やす覚悟もしたことだしな」
守る人を・・・増やす。
私のこと?と首を傾げながらキョトンとしていると、彼は笑って私の指先に口付けた。
「ひなたには、頑張ってもらわないといけなくなりそうだ」
「・・・!」
そこから上目で私を見る目が、全てを物語っていた。
・・・私ではない。
いや、私は元々含まれていた。
そこにもう一人。
一人・・・なのかは、まだ分からないけど。
増やす、という意味がようやく分かった。
「・・・それで」
彼の言葉を察して真っ赤になった私の頬を、彼は両手で包むと、優しく顔を向かい合わせるように動かして。
「返事を、聞いても構わないか?」
聞かなくても良い、返事を促した。
「いいの、本当に・・・?」
彼が尋ねる必要なんて無い。
無いからこその、私からの確認で。
「僕の覚悟が信じられないか?」
そういう意味で確認した訳ではないが、彼もそれは分かった上での質問だった。
「・・・ううん」
彼はいつも、きちんと言葉を欲しがる人だから。
必要は無くても、答えとして欲しいんだ。
毎日、どうなるか分からない仕事をしているからこそ。
欲しい言葉は、その時に聞いて。
あげたい言葉は、その時に聞かせる。
「・・・これからも、よろしくお願いします」
私もそれには、応えていきたい。
・・・時と場合によるけれど。
「ひなた」
彼の声が好きだ。
冷たい手も好きだ。
真っ直ぐな瞳も、少し癖のある髪の毛も。
優しくて、強くて、日本を守る使命を真っ直ぐに、けれど強かに遂行する。
そんな彼の姿が、大好きだ。
それはずっと、これからも変わらなくて。
ずっと、ずっと。
「・・・愛してる」
愛してる。